歯周病の診断には、多様な診査が必要であり、従来から臨床の多くの場面で、紙の診査を用いた記録が行われている。一方、近年診療情報の電子化が進んできており、歯周病の診査においても多種の電子的記録装置が開発されてきている。しかしこれらの多くが、新たに専用の装置の購入等が必要となり、また操作方法についても習熟が必要とされ、臨床に広く普及する状態ではない。しかし紙の診査票は、コストの低さ、記入方法が簡便である一方、患者毎の保存管理の手間が必要である上、プレゼンテーションなど2次利用を図る場合には、実際その多くが、診査票を見ながら再度キーボードなどより登録しなおして電子化しているのが実情である。そこで本研究では、診査紙の簡便な操作性を生かすため、近年普及してきているOCRの技術を利用して、より簡便に電子情報化すると共に、画像情報として病院情報システム内で保存管理する方法を考えた。 作業の効率化を図るため、本研究ではOCR認識を逐一行うのではなく、画像データ作製とテキスト認識の2つの作業手順に分け、双方を簡便に操作する方法を採用した。これにより、空いた時間を利用して複数の診査票をまとめて画像化して保存しておき、後に一括でOCR処理をすることを可能とした。またOCR処理については、テキストサイズを14Pt程度の大きさに拡大することにより高い認識率が保てることが分かった。加えてOCR認識用のテンプレートを変更することにより、様々な書式の診査票に対応することが今後可能と思われる。 OCR認識の為に作製した画像データは、北海道大学病院歯科診療センターで運用中の統合医療情報システム内画像管理システムの汎用画像登録機能を利用し、デジタルカメラによる臨床写真と共に患者毎に管理することを考えた。これにより、帳票類の病院情報システム内での管理を、スムーズに行うことが可能と思われる。
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