研究概要 |
平成15年度は、以下の研究を行った。 1 マウスにrhBMP-2を用いた場合の濃度が骨再生に及ぼす影響。 2 高齢マウスにrhBMP-2を用いた場合の加齢が骨再生に及ぼす影響。 3 骨粗鬆症マウスにrhBMP-2を用いた場合、骨粗鬆症が骨形成に及ぼす影響。 4 イヌの犬歯、上顎第4前臼歯歯根部に開窓状欠損を作製し、その周囲を水硬性仮封材で持続的に封鎖した実験モデルを用いた場合のrhBMP-2が歯周組織再生に及ぼす影響。 1,2,3の実験は研究結果の画像分析および統計処理を行う準備を遂行中である。 4の実験は、成ビーグル犬2頭の犬歯歯根部、上顎第4前臼歯近心根部と遠心根部の合計16部位を用いた。被験部位に5×5mmの大きさの開窓状欠損を作製して歯根膜とセメント質を完全に除去した後に欠損の辺縁部を水硬性仮封材で均一に封鎖した後、実験群にはrhBMP-2をポリ乳酸ポリグリコール酸/ゼラチン複合体に配合して移植し、対照群には担体のみを移植して13週間観察した。 実験群と対照群ともに、欠損の辺縁部の封鎖に用いた水硬性仮封材は観察期間終了後にも封鎖部付近に残存して、それを押し出すようにあるいは回避するように歯槽骨と歯根膜様軟組織が周囲の既存骨や歯根膜から連続して再生していたが、その量は両群ともに欠損の半分を越える程度で、有意な差は認められなかった。セメント質も両群ともに生じていたが、その量に明確な差は見られなかった。 歯根吸収は、両群ともに浅い表面性吸収のみ観察され、置換性吸収と炎症性吸収はまったくみられなかった。骨性癒着は、実験群の1例にわずかに観察されたのみであった。 これらの結果から欠損周囲の歯根膜や歯槽骨からの組織修復細胞の遊走を持続的に抑制した環境では、rhBMP-2の歯周組織形成能は十分に発揮されなかったと思われた。
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