1)ヒト歯根膜DNAチップ(PerioGen Chip)の作製 ヒト歯根膜3'末端cDNAライブラリから単離した遺伝子クローン約1500個を、ベクター特異的プライマーを用いたPCR法により遺伝子増殖した。これらをマイクロアレイスポッターにて高密度固定することにより、ヒト歯根膜組織由来の約1500個の遺伝子が固定化されたヒト歯根膜DNAチップ(PerioGen Chip)を作製した。 2)PerioGen Chipを用いたFGF-2刺激による歯根膜細胞での遺伝子発現解析 以下の各条件で培養ヒト歯根膜細胞を塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)にて刺激した。 (1)歯根膜細胞をFCS不含α-MEM培地にて24時間培養後、FGF-2(100ng/ml)で刺激を行い、刺激12時間、24時間、48時間でそれぞれRNAを抽出した。(2)歯根膜細胞を石灰化誘導培地にて9日間培養後、引き続き低濃度FCS培地(2%FCS)にてFGF-2(50ng/ml)刺激を72時間行い、RNAを抽出した。それぞれのサンプルRNAを標識し、PerioGen Chipへハイブリダイズし、無刺激の対照群と比較してその遺伝子発現が変化した遺伝子の同定を試みた。その結果、FGF-2刺激条件(1)では、刺激12時間では、著名な遺伝子発現変化は認められなかったが、刺激24時間では、6種の遺伝子で発現上昇が認められた。また、刺激48時間でも数種の遺伝子で発現の上昇と減少が認められた。FGF-2刺激条件(2)では、1種の新規遺伝子で発現の上昇が認められ、13種の遺伝子で発現の減少が認められた。その中で、硬組織形成時に発現上昇が認められるalkaline phoshatase、collagen type I遺伝子のFGF-2刺激による発現の減少が観察されるとともに、我々が新規にクローニングしたPLAP-1遺伝子のFGF-2刺激による発現の減少が確認された。
|