研究概要 |
これまで骨粗鬆症は、歯周病、顎関節異常、義歯の装着困難、インプラントの植立困難などとの関連性が指摘されているが、実際に骨粗鬆症が顎口腔にあたえる影響についてはいまだ不明な点が多い。 そこで本研究では、環境要因や遺伝的背景がほぼ同様で,ヒトに類似した顎口腔形態および機能を有するサルを実験モデルとして用い、骨粗鬆症が口腔に与える影響を明らかにし、さらに、得られた基礎的データをもとに、口腔からの骨粗鬆症診断システムの確立を目指す。 これまでに、両群についてマイクロCTを用いた骨形態計測をおこない、骨梁構造を検討した結果、上顎骨においては骨梁構造に差はみられなかったが、下顎前歯部、下顎臼歯部の海綿骨でOVX群では骨梁構造が粗になっていた。また、皮質骨の空隙率についても検討をおこなったところ、下顎臼歯部下縁の皮質骨では頬舌側ともにOVX群では皮質骨の空隙率が増加していた。以上より、卵巣摘出により顎骨においても他の体幹骨と同様の骨に粗鬆化が生じることを明らかとした。 現在、組織標本を作製し、詳細な組織学的検討を行っている。また、骨形態計測でもっとも骨粗鬆症の影響がみられた部位について、パノラマエックス線写真上で変化の程度を検索中である。
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