研究概要 |
本年度は,ベースラインから5年後の調査を行い,パソコンベースでデータセットを作成して運動機能および咬合状態の5年間の変化および関連性について分析を行った。 調査参加者は408名で、ベースラインに対して68.0%の参加率であった。まず,両年度ともに調査に参加した対象者について各体力測定項目について比較した。握力は30.3±8.2kgで,ベースライン時の32.7±8.9kgと比較して有意な低下が見られた。同様に脚伸展力(57.7±20.5kg vs 50.5±17.1kg),脚伸展パワー(694.0±271.3W vs 623.9±265.5W)および開眼片足立ち時間(31.8% vs 18.8%,120秒以上のものの割合)は有意な低下が見られた。しかし,ステッピングは有意に増加した(76.4±14.2回/10秒 vs 79.6±15.5回/10秒)。 つぎに,咬合状態の指標としたEichnerの分類について両年度について比較したところ,有意に悪化し,悪化したものは40名(9.9%)であった。 ベースライン時の咬合状態と5年間での体力の低下率についての関連性を分析したが有意な関連性は見られなかった。 以上より,70歳から75歳にかけて,上肢の筋力,下肢の筋力,平衡機能および咬合状態が悪化することが明らかになづた。一方,5年間の経年調査では高齢者の咬合状態と運動機能の関連性はなかった。調査は16年度および17年度も継続して行う予定である。 また,本年度は死亡者も含め32.0%の対象者が,脱落しており,脱落した対象者と継続した対象者のベースライン時の各体力を比較すると全ての項目において継続しているものが有意に高くバイアスが生じていた。したがって,死亡原因や既往歴および日常生活習慣などの項目を含めた調整を行い定量的な分析を行っていく予定である。
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