1.実験用の小窩裂溝モデルの検討:現在までに確認されている小窩裂溝形態は全部で4型ある。その中でもIK型は、いわゆるフラスコ状で入口が狭く、奥が広くなっており、清掃が困難である。今回、このIK型の小窩裂溝の再現を試みた。まだ試作の段階ではあるが、歯質構成成分であるHApとほぼ同様のリン酸カルシウムによる完成を目指している。 2.填塞材料の状態・形態の検討:填塞材料にはHApの前駆物質であるリン酸カルシウムを用いることによって、填塞後、小窩裂溝内でそれのHApへの転化現象による歯質との一体化を目指す。数種類のリン酸カルシウムでHApへの転化実験をin vitroで行った結果、α-TCPが最も良い反応を示した。 3.填塞方法の検討:小窩裂溝の入口は広いものでも約100ミクロン前後で、内部も狭小空間であるため、サブミクロンサイズのTCPを用いてもin vitroにおける填塞は困難であった。さらにレーザを用いての実験も填塞には効果的でなく、いくつか検討した結果、超音波を用いた填塞方法に最も期待が持てた。今後この超音波を応用した填塞を試みる。 4.用石灰化液の検討:TCPは、水の介在により水和反応およぼい加水分解反応によりHApへ転化する。今回、数種類のリン酸カルシウムを用いて実験を行った結果、α-TCPは、約1週間でHApへ転化することがわかった。このことから填塞時には、水を介在する形で応用する必要があることがわかった。 5.填塞状態の検討:I型の小窩裂溝を模した細いガラス管への填塞は視覚的に良好な結果を得たがIK型モデルへの填塞実験はこれからなので未確認である。
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