1.填塞材の合成:小窩裂溝填塞後、裂溝内壁の歯質(ハイドロキシアパタイト、以下HAp)との融合・同一化を考え、水和反応および加水分解反応により比較的速やかにHApに転移するα-TCPを湿式メカノケミカル法を応用し合成した。これをさらに粉砕し、粒径サイズ532nm以下の微細粒子とし、填塞材として用いた。 2.小窩裂溝モデルの成型:現在4型確認されている小窩裂溝形態の中で、特に複雑で特異な形態を呈するコルベン型(IK型)の小窩裂溝モデルを歯質と同様、HApを材料にし、オリジナルで成型した。なおモデルにおける狭窄部の幅が100μmと200μmの2種を成型した。 3.填塞および水の注入:いくつか填塞法を検討したところ、レーザによる填塞が困難であった。最終的に歯科で用いられている超音波スケーラーによる振動が一番効果的であった。モデルをスケーラーにより振動させることによりα-TCP粉末の填塞に成功した。填塞後、真空ポンプを応用することにより、蒸留水の注入に成功した。 4.填塞物および填塞状態の確認・解析:微小部X線回析法により填塞後72時間ではほぼ全ての部位においてα-TCPのHApへの転移が確認された。走査型電子顕微鏡により、填塞物とモデル内壁との密着性を確認したところ、十分に密着しており、一部に両者の結晶学的融合部が確認された。
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