医療において、良質でかつ適切な医療を効率よく提供することは大きな課題になっている。患者は、どのような情報を医療に求めているのか。医療従事者はどのような情報を患者に提供すべきと考えているのか。この両者の間の食い違いが、「苦情」という形で露出するのではないか。本研究では、主に後者について、特に入院時に焦点をおき検討を行った。わが国では「消費者保護の国際標準化/苦情処理検討委員会」が設置され、「苦情マネジメントシステムの指針」ができた。医療をサービスと位置づけた時、それを重要な医療の質改善の材料として、積極的に対応していくことが求められている。それを明記したものが、医療情報の適切な提供という視点では『情報化にむけてのグランドデザイン最終提言』、医療の安全管理という視点では『医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会報告書』である。患者が得たい医療情報は、患者、家族へ病状説明をする病院であるか(74.9%)、診断・治療に関すること(65.3%)、病院の立地場所(61.0%)、診療科の種類(61.0%)、医療安全対策を行っているか(38.5%)であり、生活などについてのニーズが低いといえた。これは、関心ごとが病気の治療にあることなどに起因している。看護部長への聞き取り調査の結果では、医療事故、安全管理の視点で、患者を巻き込んだ情報提供の方法へと変化していた。看護職が作成したパンフレッドからも同様の結果を得た。カナダの病院との比較では、州によって病院のシステムをある程度同じものにしているため、入院時のナースによるオリエンテーションは実施していなかった。ホテルと同様、日常生活については部屋へ備え付けられているパンフレッドで確認を行うシステムであった。ある程度の情報をHPで収集し、入院していた。日本では病院のHPへのアクセス、体裁にもまだ課題があるのではないかと考えられる。看護職が認識する情報提供をHPと質問紙で、更に調査を行う予定である。
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