本研究は、コミュニケーション技術教育における面接プログラム学習のモデルプログラムを構築し、その教育評価によって効果的な面接学習プログラムを開発することを目的としている。まずは、以下のステップにより、看護学生のコミュニケーション技術の特徴に基づく面接プログラム学習のモデルプログラム構築のために、発話やコミュニケーション行動の解析と構造化を行った。 A看護系大学2年生82名のうち、事前に研究目的や方法と共に研究協力は自由意思であり、プライバシー保護について説明して同意を得た58名とした。RP場面のビデオ撮影と録音によるデータを逐語録に再現した。RP1場面を1記録とし、計39記録について行動コーディングシステムを用い、各役割の発話時間や発話内容等の出現頻度、持続時間を測定した。発話内容は、発話者の交代を1発話とし、意味内容を文献に基づき分類した。出現パターンは、各発話の単位時間における出現の有無(1-0サンプリング)の時系列データと隣接ペア構造によって捉える。各全観察時間における相対累積度数をグラフ化し、各場面の3分割による出現パターンを抽出すると共に、クラスター分析を行った。 1.発話内容:16カテゴリーのうち、出現時間の長い順に「支持的コメント」「Closed-end Question(CQ)」「助言」「Open-end Question(OQ)」「感情理解の試み」「個人的支援」「情報提供」「最小限のはげまし」「いいかえ」等であった。2.出現パターン:1)「OQ」が「CQ」に先行し前期で出現し、2)「個人的支援」「助言」は後期に、3)「最小限のはげまし」は前期から中期で、4)「支持的コメント」は全体を通して、5)「いいかえ」は中期または後期に出現する傾向が見られた。6)後期には、「関係のない笑い」「沈黙」「視線をそらす」が見られた。これらの結果から、個人的支援等が後期に出現して、場面をまとめている傾向があると思われる。質問技法は、OQで開始しCQによる確認や焦点を絞っていると考えられるが、後半は発話継続の手段として用いられていることも推測される。3.出現パターンの相互関連性:「笑い」「視線」「沈黙」には出現パターンにおいても類似性が見られた。沈黙との関連性が示唆される「支持的コメント」は、沈黙を避けるために、また事例内容の影響から、クライエント役を励ますためにRP全般を通じて使用されており、RP展開上、傾聴のみでは発話継続が困難な実態が推測される。これらの解析結果に基づき、発話やコミュニケーション行動の出現傾向や面接の展開および技法の難易度、学習達成度を基盤にした面接プログラム学習のモデルプログラムを作成している。
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