ドイツにおいて看護実践に取り入れられているキネステティク概念を応用したケア技術を確実な技術とするために、研究代表者が昨年度に引き続きドイツでの研修に参加し、今年度は褥瘡予防に関する研修、患者が最も重篤な状況と考えられるICUでの看護実践の研修に参加した。それにより、キネステティク概念は、患者の力を引き出すための概念であることが再認識でき、まさに「看護」に応用すべき概念であることが学べた。 また、それらの知識や技術をもとに、宮城県内で数回開催した研究会で臨床看護師と共に実際の患者へのケアへの応用を考えた。そして、次年度に入院施設における長期寝たきり患者に対してキネステティク概念を応用した体位変換技術を導入するために、1病院の看護師に対し、その概念の講義と演習を含んだ技術指導を行った。この病院では、看護師が積極的にこの体位変換技術を取り入れ、病棟全体の看護師に普及させるためにパネルを用いて患者への体位変換を工夫し、患者の可動域拡大につながったため、今後学会にて発表する予定である。 また、第8回聖路加看護学会学術大会にて、「キネステティクの概念を応用した体位変換に関する考察」という演題名で口演発表を行い、今まで体位変換に取り入れられてきたボディメカニクスの原理に基づく体位変換との違いを主に、キネステティク概念を体位変換に取り入れたときのメリットについて発表し、キネステティク概念に関する意見交換を行った。
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