本研究は、「気管内吸引技術」の効果的・効率的な教育方法の一つとしてCAI教材を開発することを目的とする。その前段階として以下の二点の仮説及び疑問を証明することとした。1.看護専攻の学生は、新教材「吸引モデル」(呼吸器等の内部の解剖が透明で分かり、実際に痰の吸引が実施できる)を教材として使用した授業を受講することにより、「気管内吸引」の基礎的知識を獲得しやすく、技術も獲得しやすい。2.新教材「吸引モデル」(上記1参照)は、看護学専攻の学生の基礎知識面及び技術をどのような点で質的に変化させるのか。 上記の目的を明らかにするために、一大学看護学部の「気管内吸引技術」の授業を受ける2年生40名を対象に、無作為に半分の2グループに分け、aグループには新教材「吸引モデル」を使用した授業を実施し、bグループには「既存の人形」を使用した授業を実施した。そして研究協力の得られた37名の対象者の授業前と授業後の基礎的知識と技術を評価する。評価方法は、基礎的知識評価については、対象がテストを回答した後研究者が点数化し、技術評価については対象者が気管内吸引を実施している場面を研究者がビデオ撮影した後評価する。また、授業後の修得意識等のアンケート調査も実施した。基礎的知識の平均点は、aグループが授業前3.58点から授業後16.89点、bグループが授業前4.72点から授業後17.44点であった。現在、基礎的知識・技術の質的な変化を、アンケートを含め分析中である。
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