1.研究着手に向けての最終確認 ストーマ造設患者のQuality of life(以下、QOL)とresponse-shiftの把握法、調査時点、手順等について、認定看護師(WOCナース)からのスーパーバイズも含めて、最終的な確認を行った。その例を以下に示す。 ・調査時点:比療データとして術前も含める。退院後非常に重要とされている1年間を追跡する。 ・response-shiftの把握法:代表的な方法としてThen-Test法があり、これを用いた研究はいくつかみられる。したがって、今回はこれを用いる。 ・解析法:詳細な解析のためには欠損理由等の把握が必要であることから、それを確実に把握できるような工夫をする。 以上も含めた点について検討した上で、当該施設の倫理委員会に提出している。承認を得次第、調査を開始する予定である。 2.参照データの解析 本研究では、QOLを把握するためのgenericな指標としてSF-36を取り上げているが、これまで、本対象について、SF-36を用いてQOLを把握した研究はほとんどなされていない。 そこで、今回の研究の基礎的研究という位置付けで、今回とほぼ同様の対象にSF-36を用いた際のデータについて、詳細な解析を行った。具体的には、SF-36のnorm-dataとの比較により、この集団のQOLスコアについての特徴を記述した。その結果、いくつかのサブスケールはnorm-dataに比べてスコアが低く、それには就業状態などの要因が関連していることが示された。わが国のストーマ造設患者を対象にSF-36を用いたQOLデータは、十分に検討されていないため、今回の分析結果は、本研究結果を解釈する際の参照データとして、非常に有益なものになると考えている。
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