|
遺伝・遺伝子情報を適切に医療の場で利用するための新しい遺伝医療に注目が寄せられるようになってきている。そこでは種々の専門家が協力する包括的なチーム医療としての体制で臨むことが必要である。看護職としてはチームの中でどのような役割が担えるのかを、実践をふまえた研究により明確にしていく必要があると考える。そこで、遺伝子診療部の診療へ参加しながら、その中でのクライアントの反応や終了後の面接を通して、遺伝子診療部における看護実践の要素を明らかにしその基準を検討することを目的として本研究を行った。
これまで7組の遺伝子診療部への受診に同席した。うち1組は2回の面談が行われた。対象となる疾患はみな同一のものであった。診療記録として、診療の目的・説明内容・説明に対するクライアントの反応などについての記載を行った。また、診療を通し、クライアントの理解や心理的状況の把握に努め、特記すべき事項については記録を行った。
また、研究者自身が診療へ参加していない2組のクライアントと診療に参加した1組のクライアントに対し、診療が終了している時点での面接を行った。面接内容は、遺伝子診療部受診にいたった経緯、受診の前の気持ちの振り返り、受診の前に当事者間で話し合われていたこと、受診時の内容の理解、受診時の気持ちの振り返り、今現在の心境、遺伝子診療部に対しての要望などである。面接に際し、1組のクライアントからは会話の録音の承諾を得て録音しその後逐語記録を行った。また、2組からは録音の承諾を得ず、面接時にできるだけ逐語記録を行い、終了後速やかに改めて逐語録を作成した。
それらの記録の質的な分析を開始した。
研究再開後は、引き続き遺伝子診療部への診療参加と、終了後の面接、質的分析を継続し、論文作成の予定である。
|
