先天性疾患や小児期発症の慢性疾患をもちながら療養生活を行う際に、成人へ移行する青年期の課題として、本人自身が健康状態を理解し、合併症や状態の悪化を予防できるよう健康管理をしていくことが求められる。しかし、実際には小児期から慢性疾患を有する青年期の患者は、自己管理を十分に行えていないことがあることを指摘されている。先天性心疾患をもつ青年については、未だこのような自己管理に関する状況が把握できていない。従って、先天性心疾患をもつ成人への移行期にある患者が、自分の健康をどのように捉え、どのような思いで健康管理を行っているかを明らかにすることを目的とした。研究方法は、半構成式質問紙を用いて面接を行った。分析方法は、面接内容を逐語的に記録し、その意味を導き出し、データをコード化し、類似したコードを分類して、カテゴリーかしていった。対象者は、14歳から23歳の男性5名、女性3名、計8名。主な病名は心室中隔欠損症、大血管転位症、ファロー四徴症、三尖弁閉鎖症、大動脈弁狭窄症。2名が内服薬あり、2名以外の6名はマラソンや競泳等の激しい運動は制限されていた。結果、3つのカテゴリーと12のサブカテゴリーを抽出した。先天性心疾患をもつ成人への移行期にいる子どもは、「感覚的に培われた自覚症状」や「友人との関係」を気にし、「大丈夫神話を揺るがす周囲の心配や配慮」に動揺し、心負担をかけた時「後悔」し、「誤った療養行動や健康管理についての情報が十分ではない」ながらも、『自分の心臓病のことを気にしながら活動して』いた。また、「甘えている自分」や病気体験を「貴重な体験」と認識するなど、「人生(進路)の選択」を意識しながら、『自分の病気について考えて』いた。さらに、「人生(進路)の選択」を意識したとき、自分のことなのに「知らないことが多い」と感じ、「自分の限界を試す」無理な行動をとったり、「病気をもつ他者の思いや生活」を知りたいと思い、自分から質問したり調べたりと「積極的な探索行動」をとるなど『病気について知りたいと思って』いたことが明らかになった。
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