本研究の目的は、入院中の慢性疾患児に対して、ライフスキルを形成することが可能な看護支援を明らかにすることである。ライフスキルはWHOによると「日常生活の問題・要求への建設的・適応的対処に必要な心理社会的能力」である。 今年度は、入院中の腎疾患をもつ思春期の子どもに対して、ライフスキルの具体的内容について、現状を把握するために面接調査を行った。面接内容は、入院中および退院後に予想される療養行動に関連する体験や思いの中、ライフスキル研究会が掲げる具体的なスキル(健全な自尊感情、ストレス対処、対人関係、問題解決のための目標設定と意思決定)である。その結果、以下のことが明らかになった。 1.対人関係スキルが一番多くみられた。特に女子の場合、対人関係の中でも友人関係が療養行動に最も影響していた。薬の副作用について、友人の前向きな関わりや、激励より現状の受け入れという支援がみられた。退院後、学校内の他者(友人、担任、養護教諭)個々に対して、自分の状況説明の方法に困難を感じていた。 2.次にストレス対処が多くみられた。重要他者である友人と、話をする、遊びに行く、病気をもつ友人との関わりにより対処していた。 3.問題解決のための意思決定や目標設定は少なかった。しかし、再入院の場合、前回の入院中の行動が退院後に良い結果を生み出した経験を取り入れる、療養行動を他者に伝える必要を自ら決定し、行動を起こす等がみられた。 4.自尊感情は、重要他者からの支援により独自性が形成されていた。
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