今年度は、地域で生活する造血器腫瘍患者の患者参加型支援プログラム開発のための研究の開始年度であった。そのためまず現状を把握するために、諸文献や書籍よりどのような支援プログラムが実施されているか、それぞれの特徴もふまえて概観した。さらに実際に行なわれている介入とその効果についても検討した。介入の際は、また、地域で生活する造血器腫瘍患者の現状とニーズ等を把握するため、都内総合病院血液内科外来通院中の患者を対象に、面接調査を行い質的な内容の把握を実施中である。現在インタビューガイドを修正し、データ収集と平行して、分析を進めている最中である。 これらの途中経過をまとめてみると、がんと告知された患者を対象とした疾患の受容から対処に焦点を当てたものから、患者の心情の吐露と相互の支え合いを目的とした患者主体のセルフヘルプグループまでさまざまな活動があり、医療者からの情報伝達、介入中心のグループでは、5回程度のコースで終了していた。面接調査で現在得られている対象者の状況に加え、造血器腫瘍患者に特徴的な治療や療養形態を考慮すると、治療が長期にわたること、繰り返されることからそれに伴った身体症状の変化が大きいため、さらにそれに伴う社会的、心理的取り残され感が強くなる傾向があることから、実施可能な介入の形として、面接を通してこのような活動に興味を持った対象を中心に、患者同士が気軽に話ができるサロン形式で、それぞれの患者相互のサポートができるグループ作りを来年度に計画している。
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