今年度は、昨年から引き続き地域で生活する造血器腫瘍患者を対象に、支援プログラムの内容、患者からのニーズを明らかにするための実態調査を継続して行なった。昨年度は都内総合病院の内科で外来フォローを受けている患者を対象としたが、今年度は施設による特徴も検討するため、がん専門病院で継続治療を受けている患者を対象として面接調査を行なっている。現在面接内容の分析を、面接調査に平行して実施している。途中経過から内容を概観してみると、がん専門病院のほうが、対象者の病気や治療に対する知識、闘病に対する思い、意欲などが豊かに語られる傾向にあり、それぞれに自分なりの価値観、主張がはっきりしているように感じられた。これには対象者の年齢や社会的な地位(職業についていた、ついている人である)、発病以来どのような病気や治療に対する説明が行なわれてきたか、といった情報提供のあり方が影響しているようである。この点に着目しながら、継続して面接調査を行い、外来通院中の地域で生活している造血器腫瘍患者の生活上における困難やニーズの特徴を秋かにしていきたいと考えている。 また今年度は造血器腫瘍患者(骨髄移植を受けた患者を含む)と医師が共同で設立した、血液疾患患者の会の活動に参加し、活動内容などについて聞き取りを行なった。この患者の会は、自由に様々な情報を様々な治療経過にある患者同士が率直に話し合える場を提供しており、対外的な活動(啓蒙活動だけでなく入院冠者に対するレクリエーションの提供)を通じて療養生活における楽しみ、生活のはりをもたらすなど、患者同士のサークル活動的なものも重要視したセルフヘルプグループ的な組織であった。医療者からの情報提供やコースになった患者のためのサポートグループとは違い、患者会の中で中心的な存在となるコア患者の果たす役割、コア患者と医療者との連携、グループ活動の目的等の確認が重要であることが明らかになった。 次年度はこれらの患者会の活動をさらに検討し、面接調査内容を考慮しながら、実際にグループへの介入を予定している。
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