慢性病をもつ女性の病気体験に関する文献検索・検討を行っている最中であるが、近年、男性慢性病者の病気体験との相違点を指摘する声が大きくなっている.病気そのものだけでなく病いの管理・周囲の人々との関係によって女性のアイデンティティが揺るがされたり、病気によってはボディ・イメージへの影響も大きい.そこにはアイデンティティ形成など女性特有の要因が絡んでいるのかもしれない.また、そうした慢性病女性の家族サポートやなかでも配偶者サポートの研究も徐々に行われている状況にある.一般的に配偶者によるサポートの病者の様々な状況には肯定的評価がされているが男性配偶者が妻である女性病者に行うサポートと、逆の場合ではそのサポートの内容はもちろん、そのサポートのもつ意味も異なっている.ましてや男性配偶者にとって妻の病気のもつ意味については男性自身の生き方、信念、価値観などが複雑に影響しているであろう.さらに海外では上記の研究が進んでいるが日本ではまだ緒についたばかりであり、"世間"に対する意識が根強く残る日本の夫婦間ではどのような病気による影響があるのか検討していく必要がある.
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