不妊治療後の多胎妊婦が安心して出産・育児するための看護プログラムの開発と、その評価に関する研究を行った。本年度は、「1.妊婦の看護に対するニーズを実態調査すること」、またそれをもとに「2.具体的な看護プログラムを計画すること及びそれについて消費者や看護専門家等の意見を聞く」ということを行った。 その結果、まず実態として、多胎妊婦は妊娠中に"生まれてくる児の健康に関する不安"、と"その後の育児や成長の様子について具体的なイメージが湧きにくく、それに伴う不安"、の二つの不安が調査対象とした妊婦の全例で少なからず認められた。よって、その不安を軽減するための看護プログラムの一つとして、視覚的に"出生後の新生児の様子"や、"その後の育児や成長の様子(経過)"を生の映像として提示することを考えた。それにより、妊婦は事前に具体的なイメージを持つことができ、不安が軽減するのではないかと考えたからである。また、この推測は、実際に多胎を出産・育児中に同様の不安を抱えた経験を持つ消費者女性に意見を求め、それらの人々の賛同・支持も得ることができた。よって、現在、多胎消費者グループ・ネットワークの協力を得て、そのための視覚教材(VTR)を製作中である。 次年度の計画としでは、製作した視覚教材について、消費者や看護専門家の意見を仰ぎながら内容を検討し、適宜、修正・追加を行う予定である。さらにその次の段階として、開発した教材を用いて、看護介入のプレテストを、実際に妊婦を対象に行い、実施後の対象者の反応から、内容等を再吟味する。その後、本調査として当プログラムを実験群と対照群の妊婦に実施し、最終段階としてのプログラムの評価へと繋げたいと考えている。
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