平成15年度は、保育所に看護職を採用している基礎自治体における保育所看護職の活用実態の全国調査を行った。保育所に看護職が専任で1名以上従事している区市町村558か所を既存統計資料より選定し、各区市町村の保育所総括部署に対し、記名式の郵送自記式質問紙調査を行った。調査内容は保育行政組織における看護職の採用状況、看護職の活動の基盤整備状況、看護職の活動の現状である。この際、保育所における看護職の機能・役割に関する文献を調査し、質問項目を整理した。 回収数311(55.7%)であり、うち公営保育所において現在1名以上看護職を採用していると回答のあった自治体数は148であった。設問毎に集計したところ、業務基準・マニュアルのない自治体が3〜4割であり、保育所看護職独自の研修制度のない自治体が8割であったことから、保育所で看護職が保健活動を行う基盤整備が不充分な状況が明らかになった。看護職の業務内容として、事故の対応、応急処置については全園児を対象に行っている自治体が多かった。これに、病児や体調不良児の対応・看護を加えた3項目の実施率が高かった。反面、保健計画の立案・職員の健康管理・保健所や区市町村保健師との連携の実施率は低く、保育所において効果的な保健活動を実施する上で、計画的な活動や、保健所や区市町村保健師との連携を強化していく必要性が示唆された。 次年度は、保育所看護職が看護職固有の機能を発揮していると思われる実践課程の性質を明らかにすることを目的に、看護職の機能が発揮された活動の経験を持つと予測される公立保育所の看護職及び保育士に対して面接調査を行う予定である。 このため、平成15年度中に、質問紙調査を基に面接調査の対象となる自治体の選定を行った。また、保育所1ヶ所に対し事前調査を行い、調査方法およびインタビューガイドの検討を行った。
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