1.研究目的 介護保険においては適切なサービスを適切な量だけ提供することが非常に大切であるが、まだその方法は確立されていないのが実状である。そこで、本研究では介護サービスの決定に当たり、介護支援専門員はどのような対象者にはどのような内容を重視するのかを明らかにするために、サービス利用者のニーズとサービス計面との組み合わせパターンについて検討することを研究目的とした。 2.研究方法 (1):調査対象:都内B区の居宅介護支援事業所を利用している要介護認定者100名。(2)調査方法および倫理的配慮:都内B区に所在するケアマネジメント指定事業所51ヶ所全所に書面にて研究協力の依頼を行い、そのうち4つの居宅介護支援事業所より研究協力の同意が得られた。その4つの事業所を利用している人全員にケアマネジャーから調査協力依頼をしてもらい、同意の得られた100名について、性別や年齢、疾病、家族構成、介護者などの基礎情報、介護保険サービス利用状況を既存資料および担当ケアマネジャーから情報収集した。倫理的配慮として、調査対象者には、研究についての説明後、情報提供同意書に署名してもらい、また既存資料のコピーは全て名前などの個人情報を削除してもらった。 3.研究結果 対象者のニーズとしては、基礎疾患に起因する症状への対応転倒予防、廃用性症候群予防のためのリハビリ、洗濯や食事の準備などのIADLに関する項目および介護者の介護負担に関するものが多かった。サービスとしては通所介護、訪問介護の利用率が高いが、通所系サービスを利用するか、訪問系のサービスを利用するかはニーズの違いよりも、利用者本人または利用者家族の意見が優先されている傾向が見られた。 また、ニーズをみると訪問看護などがかかわったほうが良いと思われる内容もあるが、サービスとして訪問看護を利用しているのは、要介護度が重い人に限られていた。
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