精神面への看護は身体的な看護と伺様に非常に重要である。近年、不安感等の精神面の症状を香りで緩和することに関心が集まっているが、香りの作用機序は未解明の部分も多く、科学的な根拠が十分ではない。村松の先行研究では、グレープフルーツの香りにリラクゼーション効果があることを示唆する研究報告を行ったが、測定指標や香りの種類等に限界があったため、さらに研究手法等の検討が必要であった。そこで、今回は香りの効果を中枢神経系、自律神経系、心理的側面の3方向から検討することとし、平成15年度はデータ収集を中心に実施した。 結果としては、本研究の趣旨に同意が得られた男性2名、女性14名から研究協力が得られ、これを持って研究対象者とした。実験手順は、1.日本語版POMSの実施、2.1)脳波測定10分間(座位・閉眼安静)、2)脳波・心電図測定継続+香り提示(香りの提示は、グレープフルーツ→青森ヒバの順序で実施した群、青森ヒバ→グレープフルーツの順序で実施した群の2群とした)、3)安静閉眼・脳波+心電図測定10分聞、3.香りの嗜好性等を問う質問紙の実施、とした。香り提示は、air aroma(株アーススタジオ)製ディフューザーを使用した。香りの濃度は(株)双葉エレクトロニクス製携帯型ニオイ測定装置FPO-IIを使用し香りの濃度を測定した。日本光電NerofaxEEG1100にて脳波測定を実施し、各被験者の脳波データの周波数解析をEEGFocusで実施した。心電図は(株)GMS社製メモリー心拍計LRR-03を使用し、AD変換カードを経由してPCに取込みMenCalc/Tawawaで記録した。心理状況は日本語版POMSを用い、香りに関する嗜好性は、独自の質問紙を作成し記述させた。 平成16年度は、平成15年度に測定した各被験者の脳波周波数解析の結果と、心拍変動解析の結果、日本語版POMS、香りの嗜好性などの実験データの解析を総合的に検討することと、被験者数を増やしデータ収集を継続して実施していくこととする。
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