昨年度の研究結果から乳幼児健診に関わっている保健師は、親子のコミュニケーションが気になる事項としてあげており、子どもへの声かけ、遊び方、接し方について気になる点があるとしていた。また、乳幼児を持つ母親は、子どもと2人きりでいる生活へのいらだちやあせりなどの困難感を訴えていた。これらのインタビュー内容をもとに、母親の養育意識・養育行動に関する項目を中心にアンケート調査を行った。特に関連性の見られた項目として、育児困難感に関する項目が4因子抽出され、母親自身の体調不良に関する項目と強い相関関係がみられた。 さらに、子どもの気質・性格のとらえ方、夫の体調不良や役割とも関連していた。さらに、子どもの数か多いほど、子どもの年齢が高いほど母親の育児に対する困難感との関連性が認められていた。 昨年度実施した母親へのインタビューにおいても、第二子出産以降の育児の大変さや上の子どもをしかりつけてしまう現状が多々あること、さらにそのことで自己嫌悪に陥り育児に悪循環をきたしていることが多く聞かれた。 また、乳幼児健診に関わっている保健師も母親のいらだちや余裕のなさを強く感じていた。母親の育児への困難感が子どもの発達とは強い関係性は見られなかったものの、子どもへの情緒面の発達やいらだっている母親との日々の関係性はよい環境とはいいがたい。さらに、17年度は分析方法を検討し、有意な傾向のある項目も含め検討していく。
|