本年度は健康教育(以下介入)プログラムの開発とその運営体制整備、組織変化の評価のため介入前調査を実施し、平成16年1月より開発したプログラムによる介入を開始した。 (1)介入プログラム開発と運営体制の整備 (1)運営体制整備:保健師・産業医・人事部門の協力を得て、平成15年4月〜12月、対象者となる一般社員への参加促進方法、運営に必要なマンパワー、会場の手配などについて協議し、運営基盤を築いた。 (2)介入プログラム開発:前年度までの研究(課題番号13771463)で見出されたポジティブコミュニケーション(以下PC)の演習を取り入れたプログラムを開発した。内容と構成は研究者が考案し、保健師・産業医の意見、試験実施参加者の感想・意見を取り入れて修正した。試験実施は健康管理センター職員や衛生管理者等の協力で、平成15年9月〜12月の間、計4回実施した。 (2)介入の実施 平成16年1月〜平成18年1月までの2年間、2週間に1回(1回の参加者数は10人前後)の頻度で、常に未参加者集団から10人前後の対象をつのり実施することとなった。本年度の介入回数は5回、参加者数は計48人である。 (3)介入前調査の実施 平成16年.1月7日から2週間の留置法で調査(自記式無記名の質問紙調査)を実施した。尺度は、職場活性度尺度、PC体験尺度、NIOSH職業性ストレス尺度の一部、GHQ-12、WHO-SUBIを用いた。介入対象としている会社に加え、その関連会社5社、計6社123人を対象とした。回収数は871、回収率70.6%であった。回答者の平均年齢は41.6(±10.0)歳、内訳は、男性88%女性11%、管理職者12%主任係長級37%一般職48%であった。職場におけるPC体験は、職場の活性度および精神健康度とやや強い正の相関が認められた。PC体験が職場の生産性と個人の健康の両方に関与する可能性が示唆された。
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