地域の認知症リハビリ事業に参加する認知症高齢者に、秋季に応じた身体活動性の高いアクティビティケアプログラム(以下プログラムとする)を実施し、その内容を分析した。また、「痴呆性老人・生活健康スケール」を用いて家庭生活の状況を把握し、プログラムと日常生活を関連づける困難さを明らかにした。 【研究協力者】 京都府瑞穂町「軽・中等度認知症リハビリ事業」に参加する77歳〜87歳の認知症高齢者女性10名と、その介護家族10名を研究協力者とした。疾患の内訳はアルツハイマー型7名、脳血管性1名、混合型2名であり、MMSEのスコアは14点〜24点と、軽度〜中等度のステージに該当していたが、家庭生活は継続できていた。 【研究方法】 1.認知症高齢者女性10名に、1回完結型のプログラムの実践(運動会、芋掘りなど)を週1回、計8回実施し、その内容をビデオにて録画・記録した。 2.1の内容を記述データにして質的・帰納法的分析を行い、前年度と比較・検討した。 3.全プログラム終了後、家庭での日常生活について「痴呆性老人・健康生活スケール」を用いた評定を、介護家族と「軽・中等度認知症リハビリ事業」スタッフに対して行った。 【研究結果と課題】 1.8回のプログラムは1回完結型としたが、自分の意志で行動できたテーマについては、内容やその時の感情を翌週に想起、再現することができた。 2.季節重視のプログラムを実施したが、MMSEの見当識に関する項目の点数改善は見られなかった。しかし、文章作成においては、感情を豊かに言語表現することができており、情緒面を言語表現することに有意な変化が見られた。 3.スタッフ及び介護家族が評定した「痴呆性老人・健康生活スケール」では、プログラムに積極的に参加し、スタッフ評価の高い研究協力者ほど、介護家族による評定結果が低く評定されていた。 上記結果をふまえ、次年度はプログラムの改訂や洗練化を行い、介入方法を導き出す予定である。
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