1.脳血管障害や痴呆の病者を抱える家族は、どのような家族独自の知恵や技術を発展、修練させながら、生活の再構築に取り組んでいるのかを明らかにする。 1)対象:研究への同意が得られた高知県内に在住する、脳血管障害患者や痴呆老人を主に介護している者(40〜80歳代。病者との続柄;配偶者、嫁、娘)を対象として半構成的面接法によりデータ収集を行った。対象者の選定においては、継続的比較分析法に基づき、これまでの対象者とは異なる、あるいは類似した介護状況にある家族など比較対象となる対象者を選定しながらデータ収集を行った。データ収集については継続中である。 2)データ収集方法:介護経験を通した家族の知恵や技術の発達に焦点を当て、自宅または施設においてデータ収集を行った。面接内容については家族の承諾を得た上で録音した。 3)データ分析:データ分析は、継続的比較分析法に基づいて行っている。逐語記録したインタビュー内容を逐語分析し、ケースごとに抽出された家族の培ってきた知恵や技術を分類し、概念としてカテゴリー化を行っている。さらにデータ間の関連性を検討したり、他のデータから抽出された概念との比較検討を行いながら、カテゴリーの精選を行っている。分析結果は一つのカテゴリーに諸々のサブカテゴリーを仮説的に関係づけながら説明していき、その現象のストーリーとして描いている。また、それぞれのデータについては、理論的クエッションをたて、これをもとに今後のデータ収集、分析を行っている。 現在、生活の再構築がうまくできている、できていないに関わる要因として、病者との関係性、他の家族員との関係性、介護者自身の抱えた健康問題、地域・近隣の人との関係性、病者の病状悪化・ADL低下、介護者自身の介護の捉えなどがみられている。今後、これらの視点を比較分析の視点にしながら、対象者を選定し、分析を重ね、結果の洗練化、妥当性の確保をはかっていきたいと考えている。また、カテゴリーのネーミングを含めて洗練化をはかるとともに、カテゴリー間の関連についても検討を深め、様々な特性をもった脳血管障害や痴呆の病者を抱える家族が、どのような知恵や技術を発展、修練させながら、生活の再構築に取り組んでいるのかを検討していきたいと考える。
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