1.マーシャル諸島共和国高校生を対象に実施したリプロダクティブヘルス/ライツに関する質問紙調査結果を分析し、結果を現地関係者に直接説明した。回答者の性行為(sexual intercourse)経験者の割合は、男子63.2%、女子39.3%であり、本人またはパートナーが妊娠したことがあると回答した者は、男子13.1%、女子8.1%であった。対象者の避妊方法に関する知識は十分ではなく、性行為経験者の避妊実施頻度も低かった。妊娠経験の有無に関連する要因を分析した結果、性別により内容は異なるが、性のモラルが妊娠経験の有無に関連していることが示唆された。例えば、「性行為は身体的・精神的な行為である」に同意した者に妊娠経験者が少なく、「高校生で妊娠することは構わない」と回答した者に妊娠経験者が多かった。さらに、同国青少年のリプロダクティブヘルスに関する行動を規定する因子を分析した。その結果、リプロダクティブライツに関する意識の低さ、性感染症(STI)に関する知識不足、STI予防のためのコンドーム使用に対する否定的態度等とハイリスク行動との関連が認められた。 2.わが国の看護職が開発途上国において実践した協力活動の知識集約を目的に、青年海外協力隊として看護の技術協力をした者を対象に、郵送法による質問紙調査を行った。調査内容は、基本的属性、派遣国、活動内容、活動上の困難要因とその対処等であった。679名に調査用紙を送付し、284の有効回答票を得た。回答者のうち、97.9%が活動中に何らかの困難があったと回答し、それらに「対処できた」とした者は58.8%、「対処を試みたができなかった」とした者は29.6%であった。次年度はこれらの内容について詳しく分析する予定である。
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