研究分担者 |
三國 雅彦 群馬大学, 医学部, 教授 (00125353)
松岡 洋夫 東北大学, 医学部, 教授 (00173815)
羽間 京子 千葉大学, 教育学部, 助教授 (60323383)
武井 教使 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (80206937)
五十嵐 禎人 (財)東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 主任研究員 (40332374)
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研究概要 |
今年度は1)海外視察、2)研究会、3)我が国の触法精神障害者対策に関するアンケート調査を行い、下記の知見を得た。 1)仏国での少年非行に対する処遇の大きな特徴として、(1)教育優先の原則,(2)我が国の少年院にあたる閉鎖型矯正教育施設の不在,(3)被害者の裁判参加が挙げられる。また、医療刑務所は近年廃止され,精神障害を伴う犯罪者は,まずは拘置所内のSMPR〔地域精神医療施設〕で治療を受ける。英国では精神医学研究所において触法精神障害者対策に関わる人達の研修を行っている。また、英国や豪州では触法精神障害者に対する治療施設を新設するとともに、地域でのケア体制を充実させてきている。また刑務所にも精神科医を配置し、入所者の精神科的ケアを行っている。さらに英国と豪州では責任能力判定にMcNaughten ruleを採用している。 2)研究会は下記を開催した。1.本江威憙・千葉大学客員教授(元最高検察庁公判部長)から,我が国の検察の業務,犯罪情勢についての諸外国との比較等について説明を受けた。2.伊達泰裕・法務省保護局観察課専門官から「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」についての説明を受けた。少年犯罪に関し,1.精神鑑定等が争点となった少年犯罪について事例的検討を実施し,2.仏国における非行少年の処遇について質疑応答を行った。 3)千葉県在住の精神科医212名(回答88名)に刑事精神鑑定に関するアンケート調査を行った。うち32%が本鑑定経験者で、30%が簡易鑑定経験者であった。前者では平均26時間、後者では平均3.2時間を要していた。また、治療目標は幻覚妄想の消失が85.4%、衝動制御64.6%、服薬遵守性の確保50%であった。措置入院解除時での目標達成度はそれぞれ75.6%、71.3%、71.0%であった。措置解除後には自宅退院が52%と最も高く、退院後の外来通院治療において訪問看護や保健所と連携をとっているのはそれぞれ25%、48%であった。
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