研究分担者 |
古谷 研 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30143548)
福代 康夫 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (10165318)
宮崎 信之 東京大学, 海洋研究所, 教授 (40101464)
新井 崇臣 東京大学, 海洋研究所, 助手 (70323631)
乙部 弘隆 東京大学, 海洋研究所, 助手 (10169328)
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研究概要 |
三陸、大槌湾の海洋流動の季節変化および海水交換を見積もるため、海底設置型ADCP音響ドップラー流速計による観測を平成15年10月〜平成16年3月の半年間の間行った。湾中央部の断面に3台と補足のための電磁流速計2台を設置し、良好なデータが得られ、現在解析中である。三陸内湾域での貝類および海藻などの無給餌養殖生産を持続的に維持・発展させるためには環境収容力の評価が必要である。 一次生産力の適正な評価、貝類の主な餌料となる植物プランクトン群集組成や底層の溶存酸素動態の理解、物理-生態系モデルによる物質循環機構の把掘が重要であることから、本年度は、珪律速下における植物プランクトン群集動態および底層の溶存酸素動態について研究を進めた。珪素添加培養実験の結果、貝類養殖にとって好適な摂餌環境を維持するためにはケイ酸塩の十分な供給は必ずしも必要では無く、枯渇を継続させない状態の維持で十分であることが明らかになった。底層の溶存酸素の変動については湾内で実施した流速計と溶存酸素計の係留を10-11月および2-3月に行い、係留計を回収することができた、現在、酸素濃度の変動要図について解析を進めている。ベトナムの沿岸海域における有害化学物質(有機塩素系化合物、有機スズ化合物、重金属類)による海洋汚染のベースラインを把握することを目的として、地元研究者の協力のもとに有害化学物質による海洋汚染に関する調査を実施した。各地点(北部:Tra Co,Cua Luc,Do Son,Ba Lat,Sam Son,Cua Lo;中部:Dong Hoi,Hue,Da Nang;南部:Ho chi Minh,Tien Giang,Ben Tre,Bac Lieu)で採集したハマグリと底泥に蓄積している有機スズ化合物の蓄積特性について分析した。ハマグリ類に蓄積しているTBT,DBT,MBT濃度は、それぞれ1.4-56,0.5-10,0.1-44ng/g wet weight、底泥に存在しているそれらは0.89-34,0.64-4.6、0.04-11ng/g dry weightであった。特に、貿易港であり、船舶の航行の激しいHueや工業地区で国際貿易港のCua Lucで高く、両地点では、ともに有機スズ化合物の中に占めるTBTの割合が高いことから、現在でも新しい負荷があることが推測された。
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