研究分担者 |
東畑 郁生 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20155500)
小長井 一男 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50126471)
奥村 晃史 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (10291478)
久田 嘉章 工学院大学, 建築学科, 教授 (70218709)
清野 純史 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00161597)
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研究概要 |
本研究は,40,000人以上の死者を出した2003年12月26日イラン南東部バム地震の総合調査である.本科学研究費補助金の交付内示2004年1月19日以後ほぼ2ヶ月間に,計画通り延べ6班がバム市現地を訪れ,それぞれの項目について調査した.その現地調査結果(一部)の概要は以下の通りである. 1.地表調査による結果,(1)今回の地震による明確な地表地震断層の存在は見出されなかった.しかし,(2)バム市北方に連続的な右横ずれ/短縮1〜2cmの割れ目群が見られた.これは本震により誘発された微小変位あるいは変位の一部が地表へ現れたものと思われる.(3)割れ目群は既存の活断層のトレースに一致する.(4)バム撓曲崖に平行な割れ目群が発達している.これは伏在断層の活動を示しているものと思われる.(5)バム断層に沿う50kmの区間に,第四紀の活動の痕跡が見られる.そのことから,バムに地震の危険が存在することは,予見可能であった.(6)明確な地表地震断層が見られなかったことから,2003年地震はバム断層のCharacteristic Eventではないと考えられる.したがって,(7)2003年地震を地質学的に予測することは不可能である.また(8)バム断層全体を破壊する地震が今後発生する可能性があると思われる. 2.高感度地震計9台と加速度計1台を持って,震源域で約1ヶ月の余震観測を行った.その結果,(1)約20,000個の余震が観測された.これらの余震の速報的震源分布によると,(2)本震の震源断層は,バム市の中心街というべき市の東側半分を通り,南へ伸びる約20kmの長さを持ち,深さ数kmより15kmまでの大きさを持っている.(3)断層は垂直かまたはやや東側(西落ち)に傾いているが,その地表までの延長はバム断層とは一致せず,3-4km西側に位置する.(4)断層の中央部の深さ7kmより浅いところに余震分布の希薄な領域があり,ここが断層変位の大きいアスペリティーと思われる.(5)これらのことから,本震の主破壊がバム市の人口密集地の直下の浅い領域で起こったために,大被害を出したものと思われる.
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