研究課題/領域番号 |
15F14385
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
望月 直樹 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 副所長 (30311426)
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研究分担者 |
PHNG LI-KUN 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 血管新生 / 細胞骨格 / ミオシン / アクチン |
研究実績の概要 |
血管新生におけるミオシンII,αカテニン、MarcksII ファミリー分子の機能を解明することを目的として実験を行った。2年間の研究計画なので、まずはこれらの分子をゼブラフィッシュ生体で可視化することを目標にした。このために、トランスジェニック(Tg) ゼブラフィッシュをまず作製することに注力し、血管内皮細胞特異的に標的分子を発現させるラインとしてTg(Fli1ep:myl9b-EGFP)、Tg(6XUAS:cttna1-mCherry)、Tg(Fli1ep:cttna1-EGFP)、Tg(Fli1ep:marcksl1a-EGFP)を作成した。いずれのTg ラインもライブイメージング可能な蛍光強度を有していた。MarcksII には二つのアイソファームがあり(IIa, IIb) 、いずれもEGFPのタグを付加することで可視化が可能となった。MarcksII の強制発現系として、Gal4-UAS システムを用いて、血管内皮細胞特異的にMarcksIIを発現する系が構築できた。一方、MarcksIIの遺伝子破壊による機能喪失の表現型の解析のために、TALENを用いて同遺伝子の破壊を行った。現在遺伝子系の確認ができるところまで、成長してきている。二つのアイソフォーム特異的に遺伝子破壊を行う必要があり、それぞれのヘテロ同士の交配により、二つの遺伝子破壊個体の作製を開始している。ほかに血管内皮細胞の細胞骨格の可視化のための、Tg(fli1:alpha-tubulin), Tg(fli1:life-act mcherry) (それぞれ微小管とアクチン可視化フィッシュ)は揃えており、今年度に作製したTg と交配して観察していく準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗評価 本研究計画のうちMarcksIIa IIb による張力発生機構に関する研究項目は、まず血管新生における力発生の検討では、第一に手掛けるべき実験として開始した。強制発現のトランスジェニック、遺伝子破壊ノックアウトフィッシュの作製も順調と判断している。所属する研究室の機器が充実しているために、遺伝子型の解析も通常よりも短時間で可能なことも進捗状況が良い理由である。そのほか、力発生の可視化プローブの開発は産休のために、若干遅れているがこれも計画からするとプローブのデザインなどが進んでいることから実質的な遅れとは考えていない。 血管新生と血管内皮細胞の細胞骨格を形態学的に観察可能なトランスジェニックフィッシュと遺伝子破壊、強制発現フィッシュとの交配も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
Marcks IIa IIb の血管新生におけるアクチンの張力発生における意義についてさらなる検討を継続する。これまでに作製したMarcksIIa +/- MarcksIIb+/- 個体を交配することによりMarcksIIa IIb のダブルノックアウトフィッシュを作製して、血管新生でのこれらの分子の必要性をまず確認する。Fli1:EGFP フィッシュとの交配により、血管形態を詳細に観察することにより、MarcksIIa IIb が血管新生過程で、内皮細胞の安定化あるいは出芽・分枝で機能するかを調べる。血管内腔面のapical あるいはbasal での張力発生にMarcks が必要であるかも、内腔を観察可能なトランスジェニックフィッシュと交配することによりその意義を明らかにしていく。 最終的には、血管新生における張力発生がの実行分子としてのMarcksの機能を大血管から、微小な血管まで調べていくことによりshear stressまで含めた張力の発生機構を明らかにしていく。
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