研究実績の概要 |
日本に関するグローバル・バリュー・チェーン深化を新たに分析する為の核となる、輸出企業と非輸出企業別の教育水準別/就業上の地位別労働投入と中間財・サービス投入の構造に関するデータベースは、賃金センサスと工業統計のミクロデータをマッチングさせ、成功裏に作成できた。我々はこのデータに基き、海外の需要が日本で生み出している労働需要や財・サービス需要を計算してみたところ、輸出企業と非輸出企業の違いを無視した既存のOECDのデータベース(TiVA)による分析結果とは大きく異なることが分かった。この成果を2016年秋にOECDの科学技術産業局産業分析作業部会総会で報告し、国際連関表の専門家から高く評価された。今後TiVAの研究にも、本研究の成果が反映される可能性が高い。 この他、中国の多国籍企業に関する研究成果を国際学術誌"Applied Economics"に掲載することができた。 また、日本及び海外諸国の貿易に体化された職種別とタスク別労働投入のデータベースを整備するため、日本の人口センサス、JIP(日本産業生産性)データベース、日本の企業ミクロデータ、フローニンゲン大学のWIOD(世界投入産出データベース)等を用いた作業を進めた。また、グローバル・バリュー・チェーンの深化によって、貿易に体化されたタスクの内容が、どのように国内における産業別職種別・タスク別労働投入や高・中・低熟練労働者の賃金格差に影響を与えているかについて、英国で開催された国際学会"Dynamics, Economic Growth and International Trade DEGIT XXI Conference"、他において報告をした。
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