研究課題
本年度はまとめの年度として、これまで立ち上げた研究の継続を進めるとともに、得られたデータの解析を進め、論文としてまとめたり、会議で発表したりするなど、成果を形として公表することに重点を置く計画であった。まず、国際会議としては、当該分野で最も権威があり参加者も多い原子衝突国際会議(ICPEAC2017、7月にオーストラリアケアンズにて開催)において、硫黄多価イオンの分光測定に関する成果と、鉄多価イオンの共鳴励起に関する成果の2件をポスターにて発表した。硫黄、鉄、いずれも天体物理において重要な元素であり、その発光の性質を調べることは、太陽コロナなどの天体高温プラズマ診断において有用である。前者については、極端紫外領域(160-300オングストローム)におけるS VIII-XIIIイオンの2s-2p遷移を小型電子ビームイオントラップで観測し、同定を行ったものである。この成果については論文としても投稿すべく、現在執筆を進めている。後者については、Fe XVおよびFe XVIイオンの電子衝突による3d励起過程に現れる共鳴励起過程を、極端紫外域にある3p-3d遷移強度の電子ビームエネルギー依存せいから調べたものである。この成果については既に論文として執筆し、天文分野で最も権威ある雑誌Astrophysical Journalに論文を投稿し、既に掲載されている。また、我々と同様の装置により多価イオンの分光研究を行っている上海復旦大学を5月に訪問し(先方からの依頼)、電通大の研究成果を報告するとともに、先方の研究状況を把握し、研究のすみわけなどについて議論する他、情報交換を行った。その他、次世代の短波長リソグラフィ光源に資するランタノイド系多価イオンの発光線観測については本研究の成果が認められ、研究期間終了後の17年11月に受入研究者の中村が国際会議にて招待講演を行っている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
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