研究課題/領域番号 |
15F15065
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
渡辺 幸三 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (80634435)
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研究分担者 |
MURANYI DAVID 愛媛大学, 理工学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | 河川生態系 / 進化 / 生物多様性 / 種分類 / 系統発生 / カワゲラ / 水生昆虫 / 底生動物 |
研究実績の概要 |
日本国内の北海道,東北,北陸,中部,近畿,中国,四国の広域でフィールド調査を行い,我が国のカワゲラの種体系の系統学的な再評価に必要な数多くの多様なカワゲラ標本(幼虫,成虫)を採取することができた。また,これと平行して,北米,欧州,東アジアの博物館や日本の博物館(主に琵琶湖博物館)に保管されている標本収集も行った。これらのカワゲラ標本を使って,生殖器や口器など体のパーツごとに形態学的特徴を描写して詳細に記録した。これまでのところ,日本から集めた約1/3の標本と海外から集めた約1/4の標本は形態学解析と記録が完了している。上記の形態学的解析の結果,日本のクロカワゲラ科から6つの未記載種,海外のクロカワゲラから分類体系の再定義が必要と考えられる4属が発見された。これらの種体系の見直しの必要性が高い標本群を対象として,DNA塩基配列の解読に着手した。これまで,形態学的解析が終わったカワゲラ標本のうち,約100個体のDNA抽出およびミトコンドリアDNAのcox1領域のPCR増幅が完了している。また,ゲノムワイドの塩基配列を次世代シークエンシングを活用して解読するためのRADシークエンシングライブラリーの作成にも一部着手し,良好なライブラリーを作成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カワゲラ標本のDNAシークエンシング解析は完了していないものの,日本広域からのサンプリングや世界広域の博物館標本の収集は予想以上に進捗し,計画以上に多様で大量のカワゲラ標本を集めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
DNA塩基配列の解読を継続し,進化系統樹を作成し,進化・絶滅モデル解析でDNA種の種間の境界を推定し,形態学的に推定される種の境界との整合性を評価する.また,海外の博物館からの標本の収集を継続し,外国産標本も含めて,日本産種の発生起源や海面変動年代と日本産種の進化パターンの関係などの系統地理的考察も行う。隠ぺい種の疑いなど更に高度な遺伝分析が必要な形態種を対象に,次世代シークエンサーを活用したRADシークエンシング解析でほぼ全ゲノムのDNAデータを取得する。そして,種固有と考えられた形態特徴と連関している遺伝領域をゲノム中から検索する。
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