研究課題
量子常誘電体であるチタン酸ストロンチウムは低次元化,基盤による歪み,カチオン置換などの手法により強誘電性が発現することがよく知られている.多結晶体では粒界において,点欠陥や転位などの格子欠陥が高密度に導入される.したがって,粒界近傍の領域でも同様に強誘電性が発現する可能性があり,電子物性の制御に重要な役割を果たす.本研究では,双結晶法を用いて制御された粒界を人工的に作製し,その原子・電子構造を電子顕微鏡で直接観察することにより,粒界近傍での強誘電性について検討した.電子回折法により観察したところ,所望の10°の小傾角粒界が熱拡散接合によって作製できていることを確認した.原子分解能を有する走査透過型電子顕微鏡法により二種類の転位コアが周期的に配列されていることが明らかとなった.幾何位相解析法を用いて局所的な歪みを検討したところ,10%程度の大きな歪みが転位周辺に導入されていることが分かる.さらに,この領域での電子エネルギー損失分光から,転位コア周辺では酸素空孔の導入により,一部のチタンが還元されていることが分かった.局所的な原子変位を現在解析しており,これらの解析手法を組み合わせることによって,粒界の強誘電性について今後検討する.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Communications
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