当該年度は、最後の6ヵ月を残すのみであったが、以下のことを行った。 1.中央乾燥地域の調査村を事例にした、ヤシ砂糖生産に従事する小作人とヤシ砂糖の仲買人の間の金融を介したパトロン=クライアント関係についての論文をブラッシュ・アップし、大東文化大学で開催された「ビルマ研究会」で発表した後、学術雑誌Journal of Rural Studies(ミャンマー特集号)への投稿を準備している。まもなく投稿できる見込みである。 2.エーヤーワディ・デルタ地域の調査村を事例にした、土地なし労働者世帯への農家世帯の賃金前払いを通じた金融関係についての論文を執筆し、インドネシア・バンドンで開催された国際学会で報告し、それに基づき、学術雑誌Journal of Rural Studiesにまもなく投稿できる見込みである。 以上、外国人特別研究員Dr. Hnin Yu Lwinの2年間の滞在によって、ミャンマー政府がマイクロファイナンスを通じた農村貧困削減政策を重視している中、ミャンマーの2つの代表的農村地域(エーヤーワディ・デルタと中央乾燥地域)における詳細な実態調査研究に基づき、農村金融の現場レベルでの機能の仕方と政策(NGOによるマイクロファイナンスや農業開発銀行の融資、Rice Trading Companiesによる稲作農家融資など)のインパクトを具体的に明らかにし、一定の意義ある政策提言を行うことができたという意味で、(上記学術雑誌へのアクセプトが前提ではあるが)十分な学術的成果を出すことができたということができる。
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