研究課題
本研究は、膵β細胞は分化後成熟する過程があり、その成熟を制御(促進)する因子がHNF4aではないかとの仮説を立て、膵臓b細胞分化誘導法の後期にHNF4aを導入することによりグルコース応答性にインスリンを分泌する細胞を作製できるか、また作製できたらその詳細な機構を明らかにすることを目的として研究を実施した。まず、HNF4a組換えタンパク質がマウス細胞内に導入されるか検討した。その結果、マウスES細胞の培地に添加1時間後には、細胞内に導入されることが明らかになった。導入されたHNF4αタンパク質の細胞内局在について検討したところ、同タンパク質は、核と細胞質に存在することが確認できた。次に、同蛋白質の膵β細胞誘導性について検討した。Medium 1に添加するか、あるいはMedium1~3のすべての培地に添加した時が、Pdx1およびインスリンの発現が最も高かった。Pdx1陽性細胞が約25%で、インスリン陽性細胞は約8%であった。HNF4a組換えタンパク質を添加しないと、インスリン陽性細胞は1%未満であることから、HNF4a組換えタンパク質を導入することにより、膵β細胞への分化誘導が促進されることが明らかになった。さらに、マウスES細胞から分化誘導した細胞をストレプトゾトシン投与により作製したⅠ型糖尿病モデルマウスの腎皮膜下に移植した。移植後経時的に空腹時血糖ならびに血中インスリン濃度を測定し、移植細胞のインスリン分泌効果について検討した。しかし、空腹時血糖はコントロールの細胞移植をしていないマウスと同程度であった。移植した細胞の抗インスリン抗体で免疫染色をすると、インスリン陽性であった。このことから、In vivoで効果を発揮するには、さらに多くの細胞を移植する必要があると結論づけた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Am. J. Physiol.-Cell Physiol.
巻: - ページ: -
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Biochem. Biophys. Res. Commun.
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http://kumamoto-physiology.jp