研究課題
1. 骨髄におけるIL-15産生細胞の機能骨髄では、おもにCAR(CXCL12-abundant reticular)細胞がIL-15を産生していると報告されていた。そこで、CAR細胞を含む間葉系ストローマ細胞にてIL-15遺伝子が破壊されるPrx1-Cre IL-15cKOマウスにおいて、骨髄におけるNK細胞、NKT細胞、メモリーCD8 T細胞の分化、成熟、維持にどのような影響が出るかをフローサイトメトリーにて解析した。その結果、いずれの細胞集団も影響を受けないことが明らかとなった。次に、血管内皮細胞と血液細胞にてIL-15遺伝子が破壊されるTie2-Cre IL-15cKOマウスを同様に調べると、NK細胞の数が減少していた。一方、単球・マクロファージにてIL-15遺伝子が破壊されるLysM-Cre IL-15cKOマウスや、樹状細胞にてIL-15遺伝子が破壊されるCD11c-Cre IL-15cKOマウスでは、NK細胞の数に変化はなかった。以上の結果から、血管内皮細胞が産生するIL-15が、骨髄におけるNK細胞の分化・維持に重要であることが示唆された。2. 胸腺におけるIL-15産生細胞の機能胸腺では、おもに胸腺上皮細胞と血管内皮細胞がIL-15を産生している。そこで、胸腺上皮細胞と血管内皮細胞でそれぞれIL-15遺伝子が破壊されるFoxn1-Cre IL-15cKOマウスとTie2-Cre IL-15cKOマウスの間で、CD8 T細胞やNKT細胞の分化、成熟に与える影響をフローサイトメトリーにて比較した。Foxn1-Cre IL-15cKOマウスではNKT細胞とCD8 T細胞が減少していたが、Tie2-Cre IL-15cKOマウスでは変化がなかった。以上の結果から、胸腺上皮細胞が産生するIL-15が、胸腺におけるNKT細胞とCD8 T細胞の分化・維持に重要であることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
骨髄と胸腺については、一定の結論が得られつつある。腸管と脂肪組織についても解析がある程度進みつつある。以上のことから、ほぼ満足できる達成度と判断した。
腸管におけるIL-15産生細胞の機能についても、Villin-Cre IL-15cKOマウスとVillin-Cre IL-7/IL-15DcKOマウスの腸管上皮内リンパ球の分化、成熟、維持に与える影響についての解析が進んでいるので、今後、解析数をさらに増やし結論を得ることと、粘膜固有層リンパ球についても解析を進めるようにしたい。脂肪組織におけるIL-15産生細胞の機能については、Adipoq-Cre IL-15cKOマウスとAdipoq-Cre IL-7/IL-15DcKOマウスの解析が始まったところなので、今後解析数を増やし、高脂肪食を投与後の脂肪蓄積についても解析を進める。
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J. Immunol.
巻: 195 ページ: 3129-3138
10.4049/ jimmunol.1302447
http://www.virus.kyoto-u.ac.jp/about/y2015/ikuta201510.html