研究課題
拡張型心筋症 (DCM) は難治性疾患に指定されおり、これまで、ヒトDCMの特徴を有する適切な動物モデルがなかったため、DCMの病態解明と新たな治療法の開発は遅れていた。研究代表者らが作製した心筋トロポニン T ΔK210欠失突然変異によるDCMノックイン (KI) マウスモデルは心収縮能の低下、心拡大、突然死の頻発など、ヒトDCMの特徴をよく再現している。今までの研究において、このDCM KIマウスの心臓迷走神経活動は低下していることが間接的に示唆されたが、DCM KIマウスの心臓迷走神経活動が障害されているという直接的な証拠はなかった。本研究は、ΔK210 DCM KIマウスモデルを用いて、DCMの心臓迷走神経調節機構の詳細を解明し、致死的な心臓リモデリングを伴うDCMをはじめとする心疾患に対する有効な治療薬の開発を目指す。平成27年度に、1.DCMの心臓迷走神経活動は低下している; 2.DCMの心臓迷走神経節前、節後線維の機能に異常はない; 3.心臓迷走神経活動を調節する中枢機構に障害があるという結果が得られた。平成28年度に、この研究内容に基づいて、論文作成を行った。この論文は平成29年3月にAutonomic Neuroscience: Basic and Clinical誌に受理された。また、今年度、進行したDCMマウスに対し、治療薬候補であるグレリン(150μg/kg)を1 回/日・1ヶ月間投与する実験を行ったところ、グレリンの投与が生命予後及び血行動態を改善するという結果を得た。中枢神経系を介するグレリンの作用機序解明は継続研究中である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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