本研究は、低強度の励起光で高効率なフォトン・アップコンバージョンを達成することを目的としている。本年度は酸素耐性をもったフォトン・アップコンバージョンを達成するため、ポリマー中への分散を試みた。アクセプターの分子構造を系統的に変化させ、酸素バリア能を有するポリマー中に高濃度に分散させることを試みた。その結果、10 wt%以上の非常に高濃度条件においてもポリマーから色素が相分離することなく、均一に分散することを見出した。得られたドナー・アクセプター分散フィルムの光学測定を行ったところ、興味深いことに空気中においてもフォトン・アップコンバージョン発光を示すことが明らかとなった。一般的に励起三重項は空気中の酸素分子により失活されてしまうため、空気中でフォトン・アップコンバージョンは消光してしまう。一方、本研究においては酸素バリア能が高いポリマー中に分散することにより、この問題を解決することができた。
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