研究課題/領域番号 |
15F15352
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
チャン ヨンチョル 室蘭工業大学, 工学研究科, 教授 (30422025)
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研究分担者 |
MOTAKATLA VENKATESWER REDDY 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2015-10-09 – 2018-03-31
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キーワード | MCFA / 中鎖脂肪酸 / C. kluyveri / 廃水 / 生ごみ |
研究実績の概要 |
有機性廃水を用いた生産効率の検証を行うことを目的とする。鎖伸長工程を経た後、微生物混合培養(集積培養)を用いて嫌気条件で発酵を行い、揮発性脂肪酸と一部のバイオガスを炭素源及び電子供与体として利用し、中鎖脂肪酸(MCFA)を生産することができる。中鎖脂肪酸はバイオプラスチックの原料以外にも認知症予防・改善に効果があることで近年注目されている。H27年度は、MCFAの生産を、C. kluyveri株による純粋培養系及び濃縮された混合培養系を用いて評価した。その結果、反応液中の初発酢酸( C2 )(7.2 g/l)及びエタノール(17.7 g/l)を利用し、効果的にMCFA を産生することができた。C. kluyveri株は培養17 日目において初発酢酸の85%、エタノールの64%をそれぞれ消費した。培養14日目におけるC. kluyveri株によるMCFAの生産量は、酪酸( C4 )3 g/l、吉草酸( C5 )1.9 g/l 、ヘキサン酸( C6 )3.2 g/l、ヘプタン酸( C7 )0.5 g/l 、およびオクタン酸( C8 )0.048 g/lであった。一方、混合培養系によるMCFAの生産は、酪酸( C4 )4.6 g/l、吉草酸( C5 )1.2 g/l 、ヘキサン酸( C6 )4.1g/l、ヘプタン酸( C7 )0.57g/l 、さらにオクタン酸( C8 )0.14g/lであった。以上の結果からMCFA生産系の確立ができたものと判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた加水分解産物である酢酸、プロピオン酸、酪酸および吉草酸のようなVFAを含む2-5炭素の測定および生産が確認できたことと、炭素源の影響、酸素の影響、ORPの影響、硝酸塩濃度の影響、重金属の影響、至適初発温度およびpHの検討が予定通り終了したため、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度には、1)MCFA生産の最適化:各種廃水を収集し、APHA標準法に基づき、初期化学的酸素要求量(COD)、pHなどを分析する。下水、石油製品製造工場排水、金属工場排水、製紙工場排水、化学薬品生産工場排水、食品生産工場排水などを収集し、VFAとCO2生産量を記録し、好原料を把握する。さらに、MCFA生産における諸因子の検討を行なう。H2含む電子受容体の影響、炭素源の影響、酸素の影響、ORPの影響、硝酸塩濃度の影響、重金属の影響、至適初発温度およびpHの検討を行う。2)回分式嫌気反応槽を用いた生産効率の検証:予算上の問題から反応槽は手作りのものを使用する。連続的に流入する反応物質(原料)を反応器にいれる完全混合槽を用いる。集積培養液にVFAが入った瞬間に反応器内容物と完全に混合されるので反応が早く濃度が均一に管理できる利点がある。構成部品はガラス、バイトンチューブ、ステンレス材質のものを使用する予定である。
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