研究実績の概要 |
文献調査および予備試験により,本研究では,固体酸化物形燃料電池の空気極材料などに使用されるランタン系ペロブスカイト型酸化物の機械的特性に関する研究を行うこととなった.まず,主に緻密質なランタン系ペロブスカイト型酸化物(La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3-d, LaCoO3, LaAlO3, LaGaO3など)の作製を行い,X線 回折による結晶構造同定,走査型電子顕微鏡観察による結晶粒構造観察,LCR・ケミカルインピーダンスメータによる伝導率の温度依存性の測定,熱機械分析による線膨張係数の温度依存性の測定,材料試験機を用いた一軸圧縮試験による機械的挙動の温度依存性の測定などを行った.作製した試料の強弾性ドメイン構造や機械的な強弾性挙動を明らかにした.次に,上記の緻密質材料の研究に加え,多孔質材料の研究に取り組んだ.特にLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3-dを対象として,様々な種類(形状・大きさ)の多孔質形成材を用い,0~50%程度の多孔質材を作製した.密度や粒構造評価と一軸圧縮試験を行い,多孔構造と強弾性特性パラメータ(初期・負荷・除荷弾性率や臨界応力など)・圧縮強度との関係を調べた.さらに,上記の緻密質・多孔質材料の実験を並行して行いつつ,成果をまとめるべく論文の執筆や学会発表を行った.さらに,より高温で圧縮試験を行うための試験機・冶具の改良に取り組むとともに,帰国後も共同研究が進められるよう,本国で容易に入手可能な食物由来の多孔形成材を用いた試験片の作製・評価にも取り組んだ.
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