外国人特別研究員と共同に行う研究は,高倍率集光型化合物太陽電池からの電気出力と100℃前後の熱を同時取り出すことで,総合利用効率が80%まで高める高効率な太陽エネルギー利用システムの開発です.特に発泡金属を用いて太陽電池からの熱を取り出す小型高性能な冷却機器の開発を中心に行っていました. 外国人特別研究員が来日後,まず太陽光コジェネレーションシステムの設計と集光器,太陽電池モジュールの設計を行いました.500倍集光の集光器の設計と太陽電池モジュールの設計にも協力していました. また,理論研究について,発泡金属充填流路内の高熱流束沸騰伝熱の数値計算モデルを構築し,伝熱性能の理論的な予測を行いました.そのため,発泡金属の骨格への気泡の相対浸透の影響,骨格に対して気泡の慣性係数の評価,骨格内の気泡の移動,破裂と合体時の対流伝熱への影響,骨格内の気泡の移動,破裂と合体時の相変化伝熱への影響などを考慮するモデルを開発しました. さらに,高熱流束条件における発泡金属充填流路内の二相流動と伝熱特性の実験計測を行い,高熱流束条件での沸騰伝熱性能の把握及び発泡の表面改質(親水性,撥水性)による伝熱性能への影響を評価しました.伝熱面の上に拡散接合した発泡金属の濡れ性処理について,プラズマ照射による親水性処理と,化学溶液浸食による撥水性処理を行いました.平滑面に対して,発泡金属を用いた場合30%~50%の性能向上が見られました.また,親水性処理した発泡金属の流動沸騰伝熱性能は,未処理発状態より15%程度低下したことから,親水処理より撥水性処理の方が効果的と示唆されました.研究期間の都合上,撥水性処理した発泡金属の流動沸騰伝熱性能を行うことができませんでしたが,流動凝縮伝熱性能比較を行いました.平滑面,未処理発泡金属,撥水性処理発泡金属の順で伝熱性能が向上することがわかりました.
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