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2015 年度 実績報告書

金属ガラスにおける構造緩和、局所構造、および物性の相関

研究課題

研究課題/領域番号 15F15373
研究機関東北大学

研究代表者

平田 秋彦  東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (90350488)

研究分担者 JIAO WEI  東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2015-10-09 – 2018-03-31
キーワード金属ガラス / 薄膜 / 多層膜 / ガラス転移 / 構造緩和
研究実績の概要

本年度は、種々のZr基金属ガラス薄膜をスパッタリング法によって作製し、それらの熱的性質、構造等を調べた。前半では、ZrCuNiAl合金を用いて基板温度、酸素含有量、および基板種類などのパラメータを変化させることにより、分子性ガラスにおいて見出されている超安定ガラス形成の条件を探ったが、通常のガラスと顕著な差が見られなかった。しかし、この薄膜作製の過程において、金属ガラス中であっても金属原子は高い拡散能を示し、基板との反応が促進されることが明らかとなった。そこで、この現象に注目し、後半では金属ガラスと純金属のナノ積層構造をスパッタリングで作製し、金属原子の拡散能を調べることで、通常の冷却過程では得られないようなガラス状態の作製を試みた。具体的には、TaとZruCuNiAlをナノオーダーで積層させ薄膜を作り、種々の測定を行った。電子顕微鏡観察では設計通りの多層膜が形成されている様子が見られ、X線回折においてはブロードなハロー曲線のみが観測された。つまり、Ta層の非晶質化が金属ガラス層によって促進されたと考えられる。Ta層からはCuが検出され、CuがTa層へ拡散したことがわかる。Cuの沸点は3200Kであり、これはTaの融点よりも低いため、通常の融解プロセスではこのようなガラス状態を作製することは不可能である。さらに興味深いことに、Cuと負の混合エンタルピーを持つZrが主成分である金属ガラス層から、Cuと正の混合エンタルピーを持つTa層へCuが拡散が起こっていた。この起源を調べるためにさらに研究を進めていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた実験はおおむね完了し、その過程で基板による金属ガラス中の拡散の促進という興味深い現象を見つけたため、そちらの方向へ研究を進めつつある。

今後の研究の推進方策

今後はTa-金属ガラス等の多層膜を用いて、そのガラス形成プロセスの特徴を実験的に明らかにし、さらに熱力学的考察をしていく予定である。それらの知見をもとに、通常のプロセスでは作製不可能な新規金属ガラスの開発を行い、構造緩和、局所構造、および物性について調べていくつもりである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Intrinsic correlation between β-relaxation and spatial heterogeneity in a metallic glass2016

    • 著者名/発表者名
      F. Zhu, H. K. Nguyen, S. X. Song, Daisman P.B. Aji, A. Hirata, H. Wang, K.Nakajima, and M. W. Chen
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2016-12-27  

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