研究課題
【研究の目的】近年、プロバイオティクスの中でも、腸管などにおいて抗炎症免疫機能性を発揮するイムノバイオティクスが注目され、その飼料および食品における発展的利用性が期待されている。一方、家畜の腸管感染性下痢症の疾病悪化と慢性炎症の誘導には、炎症調節の破綻が関わることが知られている。我々は、家畜由来細胞を用い、抗炎症性イムノバイオティクスの選抜・評価系の構築を手掛けている。本研究では、薬のみに頼らないブタの健全育成技術の向上を目指し、抗炎症性イムノバイオティクスの薬剤代替利用性について追究することを目的としている。本年度は、有力な免疫パラメータを指標として、イムノバイオティクスの抗炎症機能性について追究した。また、ブタ筋肉内脂肪(PIP)細胞における網羅的解析から脂肪蓄積制御に関わる免疫パラメータを設定し、イムノバイオティクス選抜・評価基盤の構築を目指した。【研究成果】ブタ腸管上皮(PIE)細胞や筋肉内前駆(PIP)細胞を用いたイムノバイオティクスの選抜・評価系の発展的構築とその応用を目指し、以下の試験を行った。1)PIE細胞における抗炎症免疫評価:昨年度までに設定した炎症免疫パラメータを用いて、PIE細胞における病原性細菌あるいは二本鎖RNAウイルスモデルにより、各種乳酸菌やビフィズス菌のイムノバイオティクスとしての評価を開始することができた。2)PIP細胞における免疫調節機能評価系の応用:PIP細胞より脂肪細胞を分化誘導後、各種刺激の有無による遺伝子発現変化についてマイクロアレイ解析を行い、炎症や脂肪蓄積に関わる因子について網羅的に解析し、有用なイムノバオティクス選抜・評価のための有用な免疫パラメータが幾つか得られた。
2: おおむね順調に進展している
ブタ腸管上皮細胞や筋肉内脂肪細胞を用いて、炎症性イムノバイオティクスの選抜・評価を進めることができた他、さらに発展的評価系構築に関わる基盤構築も進んだ。本成果をさらに発展させることにより、イムノバイオティクスの薬のみに頼らないブタの健全育成技術の向上に大きく貢献できる。
本年度得られた成果を基礎として、イムノバイオティクスの、病原性細菌の炎症誘導や脂肪細胞における脂肪蓄積における抗炎症機構の詳細解明を進める。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Benef. Microbes
巻: 7(5) ページ: 769-782
org/10.3920/BM2016.0095