研究課題/領域番号 |
15F15412
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研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 |
研究代表者 |
柴崎 正勝 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 所長 (30112767)
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研究分担者 |
CUI JIN 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2015-10-09 – 2018-03-31
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キーワード | 触媒的不斉反応 / 全合成 / 海洋マクロライド / 細胞毒性 |
研究実績の概要 |
leptolyngbyolide CのC1-C18フラグメントの合成については,最初のステップとして酢酸由来のチオアミドとTBDPS基で保護された3-ヒドロキシプロピオンアルデヒドを基質とした触媒的不斉チオアミドアルドール反応(所属研究室にて開発)を行い,対応する付加体を95% eeのエナンチオ選択性にて得た.以後これを足掛かりとし,全ての立体化学を適切に制御することが可能となった.特徴的な構造であるジヒドロピラン環部位については,δ-ヒドロキシ-α,β-不飽和アルデヒドに対しヨウ素をプロモーターに用いアリルトリメチルシランをアリル化剤としたallylative cyclization(Yadavら)により構築可能であった.その基質は適切な構造をもつ1級アルコールに対するIr触媒を用いたKrischeのアリル化と,これに続くアクロレインとのクロスメタセシスによって合成することができた.なお,当該フラグメント合成の途上,宮下らにより報告された海洋産マクロライドscytophycin Cの重要中間体であるC7-C18フラグメントの合成に成功し,形式全合成に関する論文として報告している.残るC19-C32についてはプロピオン酸由来のチオアミドを基質とした触媒的不斉チオアミドアルドール反応ジアステレオ選択的を第1工程として合成に着手した.ポリプロピオネート鎖の立体制御は,不斉補助基を用いたジアステレオ選択的クロチル化により行うこととし,反応条件の最適化段階にある.一方,テトラヒドロピラン環部位については既存法を応用した合成に成功しており,クロチル化の条件設定の終了後,クロスメタセシスによる縮合を予定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
leptolyngbyolide Cの絶対配置は未定であるが,近縁の天然物lobophorolideと一致するものと仮定し合成を行うこととした.全体計画として本化合物を3つのフラグメントに分割しそれぞれ平成27年度に合成を行うこととしたが,C1-C18フラグメントに関しては触媒的不斉チオアミドアルドール反応,Krischeのアリル化,およびYadavのジヒドロピラン環構築反応を鍵工程とした合成法を確立した.途中,宮下らによる別の天然物の合成中間体の供給も可能となり,論文発表を行った.残り2フラグメントのうち末端のテトラヒドロピラン部位相当についても既存法を応用し合成を終了している.残るフラグメントに関しては触媒的不斉チオアミドアルドール反応とジアステレオ選択的クロチル化を鍵工程として採用した効率的合成法が完成しつつある.
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今後の研究の推進方策 |
現時点ではほぼ当初の計画通りに合成が進捗し,その上で別の天然物の形式全合成も達成した段階にある.フラグメント合成における個々の工程において,重大な問題は概ね解決したものと考えられ,大量サンプル供給にも特段の困難はない.今後は残されたジアステレオ選択的クロチル化反応の最適化を急ぎ,28年度の初期の段階での全合成の達成と絶対立体化学の確定を見込まれる.年度後半からはより難度の高いleptolyngbyolide A, B, Dの合成に着手したい.
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