研究実績の概要 |
受入研究代表者等は、ゼラチンハイドロゲル微粒子(GHM)を細胞シート間に挿入することにより、15枚のシートを数時間以内で用手的に積層し、培養1週間後においても拍動を続ける厚さ1mmの肥厚した心臓組織を得ることに成功している(Matsuo, Sci Rep, 2015)。本研究では、この3次元的心臓組織形成技術を用いて、心臓の力学的特性・収縮力に及ぼす作用を評価する新しい実験系の構築を行う。特別研究員の有する3D組織培養の経験とノウハウを応用しながら、力学的測定が可能なレベルの強固な組織構築と収縮力測定法の開発を行う。また組織強度の増強及び力学的負荷による組織リモデリングや収縮力、組織強度を検討するため、新たに3D心臓組織への伸展刺激負荷を行う。 1)ヒトiPS細胞由来心臓組織を用いた収縮力測定法の開発:ヒトiPS細胞由来心臓組織を用いて、その収縮力・力学特性の測定を可能とする。収縮力、弾性、張力等を画像解析装置、張力測定装置等を用いて測定する。 2)3D心臓組織への伸展刺激負荷による組織リモデリング、収縮力、組織強度の検討これまでに作製した3D心臓組織に対して、伸展刺激負荷を加えることが可能となっている。伸展刺激による心臓組織の変化(細胞配向性や細胞構成、配置の変化、ECMの変化)や収縮力及び組織強度の変化を検討する。 結果:ヒトiPS細胞由来心臓組織に対して細胞外マトリックスなどによるScaffoldの使用なしに伸展刺激を加えられるシステムを開発した。さらに電気刺激を加えることも可能とした。伸展と電気の同時刺激により、ヒトiPS細胞由来心臓組織内の細胞配列の変化及び心筋細胞の成熟化が誘導されることを見いだしている。1)2)に関して基本技術及び新規技術の開発に成功し、心臓組織変化も検出しており、研究はほぼ順調に進捗した。
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