研究実績の概要 |
「世界基準の季節性インフルエンザ不活化ウイルス全粒子ワクチンの開発」において、不活化ウイルス全粒子ワクチンが、現行のエーテルスプリットワクチン(HAワクチン)より、遥かに高い免疫をマウスおよびサルに誘導することが明らとなった。 不活化季節性インフルエンザウイルス全粒子ワクチンのマウスおよびサルに対する免疫原性を現行のHAワクチンと比較、解析した。その結果、全粒子ワクチンは、スプリットワクチンの25から100倍以上の免疫力価を示すことが分かった。 これらの研究成果に対して、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)から、このワクチン開発に対して、非臨床試験ならびに臨床研究を進めるための研究費の支援が得られることとなった。 尚、得られた成果の主な3点を以下に挙げる。 1) マウスモデルとワクチン評価のプロトコールの確立 2) ワクチンが誘導する抗体応答を評価するためのプロトコールの確立 3)H1N1ウイルスワクチン(WPV とSVおよび対照としてPBS)をマウスに接種し、28日後に致死量(3,000 PFU)の A/California/07/09 (H1N1)株を攻撃接種して、その生死と体重変化を観察した結、WPVを接種したマウスのみが攻撃ウイルスの感染を防御して生残した。SVまたはPBSを接種したマウスは、臨床症状を呈し、体重減少が激しく、攻撃5日後までに全頭が安楽殺された。以上の試験成績から以下の結論を得た。 WPVは、i) マウスに十分な免疫を誘導し、副反応を引き起こさなかった。 ii) SVより遥かに免疫原性が高い。 iii) CD8+T細胞応答を誘導する。iv) SVより遥かに高いウイルス感染性中和抗体を誘導する。 v) 致死量のウイルス攻撃からマウスを防御する免疫を賦与する。
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