研究課題/領域番号 |
15F15717
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
辻 伸泰 京都大学, 工学研究科, 教授 (30263213)
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研究分担者 |
DENG GUANYU 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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キーワード | 純チタン / 六方晶 / 巨大ひずみ加工 / 圧延 / 超微細粒 / 力学特性 / 集合組織 / 加工性 |
研究実績の概要 |
本課題は、受入研究者・辻が開発した巨大ひずみ加工プロセスであるAccumulative Roll Bonding (ARB)法やHPT (High Pressure Torsion)法などの巨大ひずみ加工プロセスとその後の焼鈍熱処理を用いることにより、平均結晶粒径1μm以下の超微細結晶粒組織を有する純チタン薄板を作製し、その特異な力学特性の発現機構と、純チタン中の不純物(鉄または酸素)が組織形成と力学特性に与える影響を明らかにすることを目的としている。 外国人特別研究員・DENG Guanyuは、2015年11月末に予定通り来日し、平成28年度は下記の研究活動を行った。(1) 種々のFe濃度を有する4種類の純チタン試料のHPT法による巨大ひずみ加工と、その後の焼鈍による超微細粒材料の作製。(2) (1)で得た試料の室温力学特性の解明。 研究項目(1)において、まず初期組織を明らかにした。いずれの純チタン試料もラメラ状αマトリクスを主体となる組織を有していたが、0.25wt%以上のFeを含む試料では、αラメラ間にフィルム状のβ相が残存していることが明らかとなった。β相中にはFeが濃化しており、試料のFe量が増すほどβの体積率が増加することが明らかとなった。HPT加工に伴うナノ変形組織の発達過程をTEM観察により明らかにした。HPT加工材を種々の条件で焼鈍することにより、サブミクロン超微細粒材を含む種々の粒径の完全再結晶組織を得ることに成功した。得られる最小粒径はFe量の増加とともに微細となった。研究項目(2)に関しては、得られた種々の粒径の試料の室温引張り試験を開始し、超微細粒材の興味深い力学特性を明らかにしつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特別研究員・鄧は、家族の病気により、2016年12月末から3ヶ月間、オーストラリアに帰国した。このような不慮の一時帰国期間があったものの、本人が非常に勤勉に研究に取り組んだため、予定していた当初の研究計画通り概ね順調に剣キュが進展している。国際会議1件、国内学会1件の発表を行ったほか、国際学術雑誌論文1編を投稿し、受理された(書誌情報は未定)。
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今後の研究の推進方策 |
種々のFe量を有する超微細粒純チタンの巨大ひずみ加工と焼鈍により、種々の平均粒径を有する超微細粒試料(箔片)を得ることに成功し、組織形成や室温力学特性に及ぼす興味深いFe量の影響が明らかになっている。11月の帰国までの今年度残り期間は、こうした興味深い組織形成過程および室温力学特性に及ぼすFe量の影響のメカニズムを明らかにし、国際会議等で発表するとともに、複数の学術雑誌論文を投稿する。
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