本研究では、風向や強さが頻繁に変化する乱流環境下における昆虫自由飛行の安定性や機動性の原理を、風洞実験及び計算流体力学シミュレーションを融合して、統合的に解明することを目指す。主に下記のような研究成果が得られた。 (1) マルハナバチ自由飛行可能なアリーナを構築し、乱流飛行中におけるマルハナバチの羽ばたき運動や胴体姿勢変化の高速度カメラ撮影や運動解析、大規模DNSシミュレーション、胴体ダイナミクス解析や飛行安定性モデルの導入を実施した結果、マルハナバチの飛行制御における胴体ロール運動による受動的メカニズムを突き止めた。この成果は、昆虫飛行制御の解明だけではなく、超小型飛行ロボットやドローンへの斬新な制御則指針の創出も期待される。第一報として、Nature Scientific Reportに投稿した。JSPS期間終了6月3日までに、蓄積したデータを処理・解析し、更に高インパクトジャーナルへの投稿(2編)準備中である。 (2) 障害物特別コースの設置されたアリーナをマルハナバチが飛行する際に、高速度カメラにより場滝よくの運動や胴体の姿勢角及び軌跡を撮影し、データマイニング技術を駆使して昆虫飛行の機動性を調べた結果、マルハナバチは上下のピッチング運動より、ロール運動による横すべりを多用していることが分かった。この成果についても、もう1編高インパクトジャーナルの論文を執筆中である。
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